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IFA業界事情

成功するIFAのセルフマネジメント

米田メソッド(最終回)
高齢化時代と資産運用(2)

画像:米田 隆 氏
早稲田大学 商学学術院
ビジネス・ファイナンス研究センター
上級研究員(研究院教授)
米田 隆 氏

1981年早稲田大学法学部卒業後1981年(株)日本興業銀行入行
1991年GLA設立、代表取締役就任、1999年PWM日本証券株式(旧LPL日本証券)会社代表取締役、2007年GLA代表復帰
公益社団法人日本証券アナリスト協会プライベートバンキング教育委員会委員長
2017年12月より常勤にて現職就任

私自身の振り返りから提案する行動指針

前編で述べた通り、日本が今後突入する超高齢社会では、「生きがい」、「健康寿命の延伸」、「十分な老後資金」の3つを担保する生き方が求められています。こうした3つの人生の課題を晩年になっても一人の独立した人間として解決していくためには、十分な準備が必要です。私自身、こうした準備を始めたのはLPL日本証券(現在のPWM日本証券)の社長に就任した42歳の時でした。

IFAという新たな金融ビジネスモデルを我が国に普及しようと全国で講演行脚し、多くの投資家の方々と質疑を積み重ねる中、超高齢社会で生き抜くために必要な行動指針が次第に見えてきました。それは「健康」、「働き方」、「生きがいの追求」、「賢い支出」、「賢い運用」の5つの活動分野のバランスを取る事だと要約できるでしょう。
この5つの要素のバランスは常に保たれるわけではありません。私も上述の証券会社の社長であった時、家族と過ごす時間を犠牲にしてでも仕事に注力しなければならない局面がありました。しかし、仕事も落ち着けば、やがてそのバランスを修正できる時期がやってきます。

LPL日本証券の黒字化が目の前に見えた50歳の時、自ら米国の本社に申し出てCEOを辞任し、大学で教えることを前提にキャリアを大きくシフトしました。8年間にわたり外資系証券会社のCEOとして高い給与を得ていた私は、辞任後大きく給与が低下することを予め想定し、ライフスタイルコストを抑制し、余資はすべて毎月ドルコスト平均法で投信を用い、国際分散投資を行いました。
人生100年時代を前提とすれば、今後誰もが何度かのキャリアチェンジが常態となるでしょう。しかし、転職時に十分な金融資産がなければ、キャリア選択の自由度が制約される可能性があります。例えば、重い住宅ローンの返済や、収入に比して過大な教育投資負担など、収入に合わせ野放図に上昇させてしまったライフスタイルコストが原因となり、余剰資金がないために資産形成が進まないのです。その結果、転職時に給与とライフスタイルコストのギャップを運用資金の取り崩しで調整できず、望まぬキャリアチェンジを強いられることになります。

キャリア移行時の資産の有無は、今後100歳時代において老後資金と同様、豊かな人生を手に入れるために重要な意味を持つようになると感じています。
こうした私の超高齢時代へ向けての生き方はIFA自身も実践でき、そうした実践者としての姿を顧客と共有することで、IFAとしてより高い信頼を得るキャリアプラクティスを創造することになると考えています。
先の5つの行動指針のうち、IFAが直接助言をし得る対象として「運用」、「働き方」、「支出」の3つに関して共有します。

(1)賢い運用

資産形成期よりも資産保全ステージでは、資産運用を難しくする次の2つの問題があります。1つは、退職金をはじめとする一括金の運用タイミングの問題です。一括金を特定の時点の株式や為替レートで固定してしまうことは、その後相場が大きく逆方向に動いた場合、回復に長い時間を要し、長期の間含み損失を抱えるため、投資家の心理的不安が過大に膨れるリスクが存在します。投資家の客観的なリスク許容度に基づいて、合理的に設定したアセットアロケーションであっても、株式等の資産変動リスクに不慣れな投資家の主観的リスク許容度は、投資直後に発生した含み損が拡大し続ければ、やがて限界を超え、合理的な投資プランの一貫した継続は困難になります。

そこで私が実行しているのが、PERが比較的に高い市場局面では一括投資はせず、MRFで一旦資金を受け入れた後、2年間程度で時間分散投資を行うという方法を用い、顧客の主観的リスク許容度を客観的なリスク許容度に合わせる時間を確保するという手法です。これは機関投資家ではない、個人投資家を扱うIFAが留意すべきポイントではないかと思います。
2つ目が、運用しながら資金を取り崩すという難しい資金と資産の総合管理の問題です。高齢時代においては個々の人間の認知も含めた健康状態は急変するために、想定外の資金需要が発生するため、生活資金プランや、贈与・相続税対策にも変更が強いられる場合があるからです。

しかし同時に、こうした急激な変化に対し、今後台頭が予想されるAIやロボットアドバイザーによる画一的な対応は困難であり、むしろIFAの役割は今後ますます重要になると考えるべきです。

(2)働き方

新たな仕事で長く働けるよう、「健康寿命」、「職業上の能力」、「ビジネス機会をもたらす人的ネットワーク」の3つを準備する必要があります。特に自営業を選択する場合、連載の第8、9回で申し上げたフリーエージェントとしての生き方が重要になります。ぜひ再読ください。

(3)賢い支出:ライフスタイルコストの上昇の抑制

ライフスタイルコストの抑制で、重要なことは次の4点です。①資産形成の目的は精神的自由の担保だと理解すること②高いライフスタイルコストは職業選択の自由を奪う要素であることを理解すること③裁量的支出の削減に努めること④強制貯蓄で月額支出に縛りをかけること。
お金の問題は、時間を味方につければ本来コントロールできる人生の要素です。しかし、一定期間以上不作為の状態が継続すれば、コントロールできない人生の要素となります。

連載を終えるにあたり

IFAは超高齢社会における上述の新しいライフスタイルの啓蒙者としての役割を果たすことになります。皆さま自身が実践し成功されてこそ、より良い顧客を獲得することにつながります。皆さまが成功者であるからこそ、将来にわたってより良い顧客関係性が構築できるのです。

一年間、連載をお読みいただきありがとうございました。

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