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50歳から資産形成を始める場合、iDeCoとNISAのどちらを利用するべきか悩む人も多いでしょう。50代は定年退職も近づき、第二の人生を考える機会も増える年齢ですから、iDeCoとNISAを使うにしても失敗したくないと不安に思う人も多いはずです。
結論から言うと、iDeCoとNISAのどちらを選ぶとお得かは、その人の状況によって異なります。なぜなら、どちらにも税制上のメリットがあるものの、それを最大限活用できるかどうかは運用期間やそもそもの運用の目的によって異なるからです。
特に、新NISAは2024年1月から制度が改正され、メリットを余すことなく享受するには運用戦略がより重要になっています。
50歳からであっても老後に向けた資産形成に遅くはありません。ただし、iDeCoとNISAをお得に活用して資産を増やすためには、それぞれの制度を正しく理解することが不可欠です。
この記事では、iDeCoとNISAの違いや、50代におすすめの運用戦略を解説すると共に、両制度を併用する方法についても紹介します。
目次
iDeCoとNISAどちらが良いかを判断する前に、50代の平均貯蓄額と、老後に必要な資金額について確認しておきましょう。
金融広報中央委員会が公表している「令和5年 2023年平均結果の概要」によると、金融資産を保有している世帯(2人以上の世帯)における50代の金融資産保有額の平均は1,611万円、そのうち預貯金の額は約660万円です。
また、単身世帯の場合、50代の金融資産保有額の平均は2,288万円、その中に占める預貯金の額は約840万円です。
次に、総務省統計局が公表している「家計調査報告(家計収支編)2023年平均結果の概要」によると、65歳以上夫婦のみの無職世帯の平均支出額は毎月約25万円、単身世帯だと約15万4,000円です。
また、日本年金機構の資料によると、2024年度の国民年金(満額)は月6万8,000円、厚生年金と夫婦2人分の国民年金を合わせた平均年金額は23万483円です。
つまり、上記の平均値を元に老後の生活を考えると、夫婦2人で毎月約23万円の年金を受け取れるとしても支出額が毎月約25万円であるため、毎月約2万円(年間だと約25万円)の赤字が発生することが分かります。
厚生労働省が公表している「簡易生命表(令和5年)」によると、平均寿命は男性が81歳、女性が87歳となっていますので、仮に65歳から87歳までの22年間を年金収入だけで生活すると、老後生活費の赤字は合計約550万円となります。
また、生命保険文化センターの調査によると、ゆとりのある老後生活を送るために必要な費用は月平均約38万円とされており、老後に旅行や教養、趣味などを楽しむためには、さらに資金が必要となります。
これらの資料からも、老後の生活費を退職金と年金収入だけで賄うのは難しく、50歳を過ぎたら、退職金や年金以外の資産を形成しておくことが重要であることが分かります。
50代以降は資産を減らしたくないので投資は控えたいと思う方も多いです。とはいえ、貯金だけでは金利が低いので、なかなか増やすことはできません。そのため、50代からでも資産を増やして老後に備えるためには、適切な範囲で資産運用を取り入れることが大切です。
特に、運用益が非課税で受け取れるiDeCoやNISAをどのように活用するかが、老後の資産形成における大きな分かれ道となるでしょう。
NISA(少額投資非課税制度)とは、2014年から始まった制度で、改正を繰り返し、2024年1月からは新NISA制度がスタートしています。
NISAは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つの枠で構成されており、年間の非課税投資枠上限は、成長投資枠が240万円、つみたて投資枠が120万円です。2つの枠は併用可能で、年間最大360万円まで非課税で投資できます。
また、非課税で保有できる期間は一生涯で、最大1,800万円(そのうち成長投資枠は1,200万円)まで非課税で運用できるため、運用しながら必要な時に引き出せます。この「いつでも引き出せる」点は、50代からでも始めやすい大きなメリットです。
NISAは、長期運用だけでなく短期や中期の資金ニーズにも対応しているため、老後資金の形成方法としてもおすすめです。
購入できる運用商品は、成長投資枠とつみたて投資枠で異なります。つみたて投資枠では、金融庁が認めた長期・分散投資に適した投資信託と、一部のETFが対象です。
一方の成長投資枠では、購入できる商品の種類が幅広く、株式や投資信託の他、ETFやREITなどから選択できます。
例えば、成長投資枠で株式を購入することで、短期的な値上がりを期待できる他、高配当の株を購入して定期的に配当益を得る方法もあります。また、安定した運用を選ぶなら、つみたて投資枠で投資信託を購入するのも良いでしょう。
NISAで運用を行う時には、特徴の異なる商品を組み合わせ、値動きを分散して投資することを意識しましょう。投資できる期間が限られている50代にとっては、同じ値動きをするものばかりに投資すると、その商品が万が一大きく値下がりした場合に取り返しがつかなくなるからです。
ちなみにNISAを始めるには、金融機関に専用のNISA口座を開く必要があり、すべての金融機関を通して1人1口座しか開設できません。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、私的年金の一つで、老後資金を形成する目的で利用されています。
iDeCoの特徴は、掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となること、運用中に発生する利益は非課税になること、さらに受取方法には一括と分割があり、どちらを選んでもそれに応じた控除制度が適用されることです。
具体的には、一括で受け取った場合は退職所得控除の対象になり、分割で受け取る場合は公的年金等控除の対象になります。
ただし、原則として60歳まで引き出せない点や、60歳から引き出すにはそれまでの加入年数が10年以上必要な点が、iDeCoを始める際のデメリットとなります。
とはいえ、NISAと異なり一定の年齢まで資金が拘束される点に関しては、「うっかり使ってしまわずに確実に資産形成ができる」と捉えればメリットにもなり得るでしょう。
また、企業に勤めている人なら所得控除の手続きを会社が行ってくれるため、手間が省けるといったメリットもあります。
なお、原則として60歳までは引き出せませんが、加入期間中に一定の障害の状態になった場合は障害給付金として、死亡した場合は死亡給付金として、それまでの運用資金が受け取ることができます。
iDeCoもNISA同様、1人1口座しか開設できません。金融機関によって取り扱う商品が違うため、金融機関を選ぶ際は品ぞろえも確認しましょう。
iDeCoの制度は、2025年1月から大きく変更されました。
まず、iDeCoの加入が70歳未満まで延長されました(ただし、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていないことが条件)。さらに確定給付型の企業年金(DB)に加入している会社員の掛金限度額が、従来の5万5,000円から6万2,000円に増額されました。
また、DBに加入していない会社員の掛金限度額も6万2,000円に引き上げられた他、自営業者などの国民年金基金との掛金合計も7万5,000円まで引き上げられました。
さらに、2026年1月からは、iDeCoの「5年ルール」が「10年ルール」に変更されることが決まっています。
「5年ルール」とは、iDeCoで一時金を受け取ったあと5年が経過してから退職金を受け取ることで、それぞれに退職所得控除が受けられる仕組みです。仮に、60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で退職金を受け取る場合、それぞれで退職所得控除が適用できます。
しかし「10年ルール」に変更されることで、仮に60歳でiDeCoの一時金を受け取り、65歳で退職金を受け取る場合、退職所得控除を全額適用できなくなるため、税負担が増えてしまう点に注意しておきましょう。
60歳でiDeCoの一時金を受け取る場合、退職金の受取時期を70歳にすることで、それぞれで退職所得控除を適用できます。または、60歳からiDeCoを分割して受け取ることで、退職金を受け取った際に退職所得控除を適用する方法もあります。iDeCoの資金を分割して受け取っている間は、公的年金等控除の対象となります。
NISAとiDeCoは、どちらも老後資産の形成に有効です。しかし、それぞれの特徴が異なるため、50代から始めるに当たって、どちらを利用するか慎重に検討した上で判断する必要があります。
ここでは、NISAとiDeCoの税制メリットや投資対象商品を比較し、50代からの老後資産の形成手段としてどちらを選ぶべきかのヒントを紹介します。
まず、NISAとiDeCoの投資期間、引き出し可能時期、流動性、資金用途の違いを以下の表にまとめました。
NISA | iDeCo | |
---|---|---|
投資期間 | 制限なし | 最長75歳まで |
引き出し 可能時期 |
いつでも可能 | 原則として60歳以降 |
流動性 | あり | なし |
資金用途 | 教育資金や住宅ローンの頭金、老後資金などさまざまな目的に利用可能 | 老後資金 |
この表からも分かるように、50代でNISAを選ぶ場合、急な出費に備えて流動性を確保しつつ、運用益を非課税で増やせます。投資期間に制限がない点も大きなメリットです。
一方のiDeCoは、税制優遇を受けながら計画的に積み立てることで、確実に老後資産を形成できます。
運用益が非課税になる点はどちらも同じです。ただし、iDeCoは原則として60歳まで引き出せない点や、投資期間が最長75歳までと決まっている点に注意しておきましょう。
とはいえ、掛金が全額所得控除の対象になる点や、受け取った金額が退職所得控除や公的年金等控除の対象になる点はNISAだけでは得られない大きなメリットです。
NISAとiDeCoの税制メリット、運用益、掛金の所得控除、受取時の税制優遇の違いは以下の通りです。
NISA | iDeCo | |
---|---|---|
税制 メリット |
運用益が非課税になる |
|
運用益 | 非課税 | 非課税 |
掛金の 所得控除 |
なし | 全額所得控除の対象 |
受取時の 税制優遇 |
運用益が非課税で受け取れる |
|
50代で所得税の負担が大きい人なら、iDeCoの所得控除を活用することで税負担を軽減できます。そのため、現役時代の税負担をできるだけ抑えたいと考えている人におすすめです。
NISAは運用益が非課税になるため、将来の資産増加に直結します。また、年間の非課税投資枠がiDeCoよりも大きいため、まとまった資金を一括投資し、非課税で運用したい人に向いています。もちろん、一括投資でなくても積立投資を行うことで資産の形成は可能です。
NISAはiDeCoよりも運用対象商品が多い点も魅力の一つです。
NISAとiDeCoの投資対象商品と、リスク・リターンの違いは以下の表の通りです。
NISA | iDeCo |
---|---|
成長投資枠
つみたて投資枠
|
|
50代から運用を始めるに当たっては、リスク管理が重要なポイントです。
NISAは成長投資枠とつみたて投資枠で分かれていますが、選べる商品の自由度が高く、短期から中期までの運用にも適しています。特に成長投資枠では、上場株式やハイリスク・ハイリターンで運用できる投資信託にも投資できるため、効率的な資産形成が可能です。
一方のiDeCoは、元本確保型商品が組み込まれているため、リスクを抑えた運用が可能です。また、運用商品数は35本前後に絞られているので、より多くの商品で分散運用をしたいと考える人には物足りなく感じるかもしれません。
結論から言えば、最も効率的に老後資産を運用するのであれば、iDeCo、NISAの両制度を併用するべきです。とはいえ投資に充てられる余裕資金額からしても、同時に両制度を満額活用するのは難しいという方も多いでしょう。ではどちらの制度を選ぶべきかというと、50代からの最適な選択肢は、自分がいつまでにどれだけの資産を形成したいかによって異なります。
iDeCoは運用期間が限られているため、その後の運用方法についても考えなければなりません。
資産を増やしながらも、老後資金としてだけでなく、必要な時に自由に引き出したいならNISAがおすすめです。
逆に、節税効果を活かしながら確実に老後資産を形成したいならiDeCoが適しています。
これらの制度はどちらか一方しか利用できないわけではありません。NISAとiDeCoは併用が可能なので、両方を併用することで、自由な資産運用と老後の資産形成をバランス良く実行できます。
50代からの老後の資産形成については、NISAとiDeCoの両方のメリットを活用した運用を考えましょう。
NISAでは短期や中期での資金を確保しつつ、iDeCoで老後資金を形成する組み合わせは非常に効果的です。
老後の資産形成には、企業も力を入れており、企業型確定拠出年金(DC)の制度を導入している企業も多くあります。以前は企業型確定拠出年金とiDeCoの併用はできませんでしたが、2022年10月から併用が可能になりました。
そのため、企業型確定拠出年金(DC)に加入している場合、iDeCoではDCで選んでいる商品と特徴が異なるものを選択することで分散投資が可能になり、よりリスクを抑えた運用ができます。
では、50歳からiDeCoまたはNISAで15年間運用した場合のメリットをシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの条件(iDeCoおよびNISA共通)
所得控除によるメリット額 | 運用益非課税によるメリット額 | 税制メリット額合計 |
---|---|---|
1,242,000円 | 215,267円 | 1,457,267円 |
iDeCoで運用した場合、掛金の所得控除で得られるメリットが124万2,000円、そして運用益が非課税のメリットが21万5,267円となり、合計で約145万7,267円の税制メリットが得られました。
また、運用利回りが3%の場合、15年後の資産は元本414万円に対し、521万6,339円です。運用益の107万6,339円と所得控除のメリットを合計すると、約231万円のメリットが得られる計算になります。
NISAは運用益が非課税になるため、運用益非課税のメリット額は107万6,339円です。利回りはiDeCoと同じなので、65歳時点の資産額は元本414万円に対し、521万6,339円で変わりません。
投資元本 | 15年後の資産額 | 運用益非課税によるメリット額 |
---|---|---|
414万円 | 521万6,339 | 107万6,339円 |
次に、iDeCoとNISAを併用した場合をシミュレーションしてみます。条件として、iDeCoでは毎月2万円を、NISAでは毎月3,000円を積立投資し、運用期間は15年、運用利回りは年3%とします。
iDeCoの所得控除のメリットは15年間で108万円、NISAを合わせた運用実績は投資元本414万円に対し、521万6,339円の資産を形成できます。この場合、運用益107万6,339円と所得控除のメリット108万円を合計すると、約215万円のメリットが得られます。
所得控除によるメリット額 | 運用益非課税によるメリット額 | メリット額合計 |
---|---|---|
108万円 | 215,267円 | 129万5,267円 |
この結果を見ると、iDeCo単独で運用した方が税制メリットは大きいものの、原則60歳まで引き出せないため、老後資産以外の資産形成も考慮するならNISAとの併用が有効です。
50代からの資産形成方法として、NISAとiDeCoを併用した方が良いことは分かったものの、どのように組み合わせたら良いのか分からない人もいるかもしれません。
ここでは、NISAとiDeCoを併用して運用をしたいと考えている人に向け、具体的な活用方法を解説します。
50代からは、リスクを抑えながら資産を増やす考え方が重要です。
NISAとiDeCoを適切に組み合わせながらも、流動性と長期運用のバランスが取れたポートフォリオを構築できます。最適なポートフォリオは、自分がどのような投資を行うかによって異なります。
リスクを許容し、高いリターンを目指す方向けです。NISAでは主に成長投資枠を活用し、値上がりが期待できる国内外株式やETFを中心に複数の商品を選び、iDeCoでは債券などの低リスク資産にも広く分散投資する投資信託を選択する方法です。全体の割合として、たとえば国内外株式への投資比率を7割ほど、債券のような低リスク資産に3割程度に考えると良いでしょう。
NISA、iDeCoともに、国内外株式や債券にバランスよく投資を行います。バランス型投資信託を選択するのもおすすめです。全体の割合として、たとえば国内外株式への投資比率を5割ほど、債券のような低リスク資産に5割程度に考えると良いでしょう。
全体的に債券中心の投資信託のような低リスク資産の割合を増やしつつ、ある程度大きな企業の中で高配当株式を集めているETFなども組み入れましょう。全体の割合として、たとえば国内外株式への投資比率を3割ほど、債券のような低リスク資産に7割程度に考えると良いでしょう。
もちろん、上記は一例であり、運用状況に応じてリバランスを行うことが重要です。運用商品の変更は、NISAとiDeCoどちらでも可能です。特に積極運用の場合は、市場の影響を大きく受けるので、市場が低迷している際には、購入するETFの種類を見直すなどの対応を検討しましょう。
退職金を活用しようと考えている場合、「早期リタイアを考えている場合」「安定した老後資産を確保したい場合」「リスクを抑えた運用を行いたい場合」で活用法が異なります。
長期運用を前提としつつ、ある程度リスクをとる投資スタイルがおすすめです。なぜなら、早期退職によって収入がなくなるため、想定外の出費にも対応できるように資産を増やす必要があるからです。さらに、投資先を分散することでリスクを抑えることも重要です。異なる種類の運用商品に分散投資することで、価格変動リスクを軽減できます。
具体的には、NISAの非課税枠1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)を最大限活用し、成長投資枠で成長株やETFに投資しながら、退職金の一部をiDeCoで運用し、節税メリットを得る方法です。
退職後に安定した資産を確保したい場合、iDeCoの掛金を増やして節税効果を得ながら、老後資金を計画的に形成することが大切です。また、NISAの成長投資枠では、高配当株やETFを活用し、相場による価格の上下だけでなく定期的な配当収入による利益を積み上げることも検討しましょう。
退職後はiDeCoの掛金上限額が増加するため、上限まで活用することで、資産形成のスピードを加速させることが可能です。
iDeCoの掛金上限額まで元本確保型商品(定期預金など)を活用し、NISAでは低リスクの債券ETFやバランスファンドを選択する方法が適しています。ただし、退職金の全額を運用に回すのではなく、生活に必要な資金を一定額残した上で投資を行いましょう。
また、退職の翌年に住民税の負担が増えることや、退職後に健康保険の任意継続を選んだ場合、保険料が全額自己負担になることも忘れずに考慮しましょう。
投資方法だけではなく、資産管理の方法についても考えておかなければなりません。
ここでは、50代や60代でも効率的に資産管理を進めるためのポイントを紹介します。
まず、退職金を受け取る際に、NISAとiDeCoをどのように組み合わせるかを考えることがポイントです。
上でも紹介した通り、iDeCoには「5年ルール(2026年1月からは10年)」があり、iDeCoを受け取る時期との調整も考えなければなりません。
また、退職金を一括で受け取る場合、退職所得控除の対象にはなるものの、退職金の金額によっては課税対象になる可能性もあります。そのため、退職金を分割(年金形式)で受け取り、NISAを活用して非課税で運用する方法も有効です。
さらに、iDeCoの掛金上限まで積み立てを行い、所得控除の恩恵を受けながら運用することも可能です。
退職金の投資先は、iDeCoやNISAだけではありません。一部を定期預金や債券といった安定資産に組み入れることで、リスクの軽減にもつながります。
これまでは退職金を切り崩すという考え方が主流でしたが、せっかくまとまった資金を得られるなら、効率的に運用しながら徐々に取り崩すといった考え方も大切です。
投資対象となる運用商品には、さまざまなものがあります。重要なのは、一つの商品に集中投資しないことです。
「卵を一つのかごに盛るな」という言葉があるように、一つの運用商品に資産を集中させると、その商品の価格が下がった時に大きな損失をこうむる可能性があります。しかし、特徴の異なる複数の運用商品に分散投資しておけば、一つの運用商品が値下がりしても、他の商品の価値が値上がりすることで、損失を抑えることができます。
運用商品には、株式・債券・不動産投資・金(ゴールド)などがあり、複数の資産クラスに分散投資することで、リスクを最小限に抑えることができます。
NISAは成長投資枠を利用することで、短期的な運用にも活用できます。リスク分散を意識しながら、成長株やETFを活用して高リターンを狙いましょう。
一方、iDeCoは長期運用を前提としているため、選択する商品もそれに適したものにする必要があります。具体的には、安定成長が見込めるバランス型ファンドや債券ファンドを組み入れるのが有効です。
また、リバランスが苦手な人には、ターゲットイヤー型ファンド(目標の年に向けて自動的に安定運用に移行する仕組みのファンド)を選ぶのも良いでしょう。
日本では、55歳を境に役職定年や給与の減少が始まる企業が多く見られます。
例えば、55歳で給与が3割減少し、60歳以降の再雇用でさらに2割減少するケースや、55歳で役職手当がなくなり、60歳以降に段階的に給与が下がっていくケースなどがあります。
このような事情を考えると、55歳は退職後の収入計画を立てるべき重要な時期といえます。60歳以降の収入源を確保するために、今のうちから資産をどのように取り崩すかを計画することが重要です。
具体的な取り崩し戦略として、以下のような方法が考えられます。
また、定年後の毎月の支出をどのように抑えるかも、事前に考えておくことが重要です。受け取れる退職金や年金の額、そして平均寿命までの期間を考慮し、毎月の適正な支出額を把握することで、老後資産を計画的に管理できます。
「50代から資産形成を始めるのは遅いのではないか」と感じる人もいるかもしれません。しかし、iDeCoやNISAを活用することで、将来の老後資産を形成することが可能です。
ここでは、NISAやiDeCoを活用して資産形成を始める前に考えておくべきことについて解説します。
NISAやiDeCoでの運用を始める前に、まず現在の毎月の収入および支出を把握しましょう。その上で、運用に回せる余剰資金がどのくらいあるのかを確認することが重要です。また、まとまった預金がある場合は、その一部を運用に充てることを検討しても良いでしょう。
特に、子どもの教育費がかかる世帯や住宅ローンの返済が残っている世帯では、それらの支出がいつまで続くのかを確認し、その後の余剰資金額も把握しておきましょう。
余剰資金額が把握できたら、次に退職後の収入がどのくらいになるのかを確認し、支出とのバランスを考慮した無理のない投資計画を立てましょう。
退職後は収入が今までよりも減るため、生活費の半年分は緊急資金として預金しておくことをおすすめします。
運用に回せる余剰資金の額が把握できたら、次に運用の目的を明確にします。具体的には、「いつまでに、いくらの資産を形成するか」を考えましょう。
例えば、60歳までに資産を形成し、それを取り崩しながら生活することを考えているなら、60歳までの運用期間を意識し、リスク許容度を設定する必要があります。
運用期間が10年間取れる場合は、最初は積極運用で始め、徐々に安定運用に切り替えるという考え方も有効です。現在50歳で65歳まで働く予定なら、15年間の運用期間が取れるため、運用効果もより大きくなります。
ここで重要なのは、インフレや今後の税制変更などを考慮し、柔軟な資産形成プランを作成することです。
運用を取り入れるなら、インフレ率を上回る利回りでの運用を考える必要があります。また、NISAやiDeCoの制度が今後変更される可能性もあるため、こうした点を踏まえた上で資産形成プランを作成しましょう。
これまで運用経験がない場合、どのように資産形成プランを作成すれば良いのか分からないこともあります。
そのような場合は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)やFP(ファイナンシャルプランナー)に相談し、自分に合った最適な投資方法を決めることを検討してみましょう。
また、運用先を選ぶ際には、複数の金融機関の情報を比較し、使いやすさや相談のしやすさなどの面から最もメリットのある運用先を選ぶことをおすすめします。
運用商品を選ぶ際には、投資初心者であれば、リスク分散が可能なインデックスファンドを活用すると良いでしょう。
運用に慣れてきたら、投資信託だけでなく、高配当株やETFなどにもチャレンジするのも選択肢の一つです。
50代からの資産運用を成功させるためには、自分のライフプランに合った適切な運用方法を選ぶことが大切です。
しかし、これまでに運用経験がない場合、投資に関する知識がなく、どこから始めれば良いのか分からないこともあるでしょう。
そのような場合には、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)への相談が有効です。
IFAは銀行や証券会社とは異なり、中立的な立場で相談者に最適な資産運用のアドバイスを提供してくれます。
さらに、市場環境の変化に応じた柔軟な運用アドバイスを受けられるため、NISAやiDeCoを活用した税制上のメリットも最大化できるでしょう。
50代でお金の資産運用に悩んでいる人は、無料相談を活用しながら、安心して資産運用をスタートさせましょう。
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